電磁気学 理論 1-4.交流回路

2023年3月24日

正弦波交流

交流の仕組み

・直流:時間が経過しても向きが変わらない電気の流れのこと

・交流:時間とともに大きさや向きが周期的に変わる電気の流れのこと

周波数と角周波数

・周期:ある状態から元の状態に戻ってくるまでの時間のこと
量記号:T 単位:秒[s]

・周波数:1秒間に繰り返される周期の回数のこと
量記号:f 単位記号:ヘルツ[Hz]
f=1/T

ちなみに関東の交流電流は50[Hz]、関西の交流電流は60[Hz]です。
これは明治時代に関東はドイツ製の発電機(50[Hz])を輸入し、関西はアメリカ製の発電機(60[Hz])を輸入したことが原因です。
【参考】
関西電力 なぜちがう周波数ができてしまったの?

・角周波数(角速度):1秒間にどのくらいの角度進むかを表す速度のこと
量記号:ω(オメガ) 単位:[rad/s]
ω=2πf

瞬時値・最大値・ピークピーク値

・瞬時値:それぞれの瞬間における交流起電力の値のこと

・ピークピーク値:波形の山が最大の時と波形の谷が最大の時の絶対値の合計値のこと

平均値と実効値

交流電圧は値が常に変化しているため「交流電圧は○○Vです」とは言えません。
そこで指標として「平均値」や「実効値」が用いられます。

・平均値Vav:交流の半周期についての平均値のこと
交流電圧の最大値をVmとすると
Vav=(2/π)XVm

・実効値V:交流電圧を直流電圧へ換算した場合の値のこと
V=Vm/√2

位相と位相差

交流電圧のグラフが左にズレた状態を「位相が進んでいる」と表現し、右にズレた状態を「位相が遅れている」と表現します。

Vav=Vmsin(ωt+Φ)のとき
位相  →ωt
初期位相→Φ

・位相差:初期位相とのズレのこと

・同位相:位相差が0であること

ベクトル

・大きさと向きを持つパラメータは「ベクトル」と呼ばれます。

・一方大きさのみを持つパラメータは「スカラー」と呼ばれます。

・絶対値:スカラー量のこと。「|5|」のように| |で挟んで記述する。

ベクトルの表現方法
x=1,y=1のとき
直交座標表示→(1,1)
極座標表示 →√2∠π/4 (斜辺の長さが√2であり、角度がπ/4[rad]であるため)

*「∠(かく)」で変換できます

・ピタゴラスの定理(三平方の定理):直角三角形において底辺の長さをa、高さをb、斜辺の長さをcとしたとき以下の公式が成り立つという定理
a2+b2=c2
奥行きが同じで一辺がa,b,cの3つの正方形の容器を用意し、一辺がaの容器とbの容器に満杯まで水を入れると、その合計がcの容器の容量に等しいことから発見されました。

R-L-C直列回路の計算

R,L,Cの働き

交流回路では抵抗Rだけではなく、インダクタンスLや静電容量Cも電流の流れを妨げます。

抵抗Rのみの回路

交流電圧V[V]の電圧を抵抗R[Ω]のみの回路に加えると電圧と電流は同相となり、電流の実効値I[A]はオームの法則V=IRが成り立ちます。

インダクタンスLのみの回路

交流電圧V[V]をインダクタンスL[H]のみの回路に加えると、回路に流れる電流I[A]は電圧V[V]よりπ/2[rad]遅れます。

・誘導リアクタンスωL:誘導起電力による交流電流の流れ難さのこと
量記号:XL 単位記号:オーム[Ω]

周期f=ω/2πなのでオームの法則V=IRより
V=IXL
=IωL
=2πfLI

静電容量Cのみの回路

交流電圧V[V]を静電容量C[F]のみの回路に加えると、コンデンサの持つ充放電作用によって回路に流れる電流I[A]は電圧V[V]よりπ/2[rad]進みます。

・容量リアクタンス:静電容量C[F]による交流電流の流れ難さのこと
量記号:XC 単位記号:オーム[Ω]

周期f=ω/2πなのでオームの法則V=IRより
V=IXC
=I/ωC
=I/2πfC

R-L直列回路,R-C直列回路,R-L-C直列回路

・R-L直列回路のインピーダンス√(R2+XL2)
量記号:Z 単位記号:オーム[Ω]

・R-C直列回路のインピーダンス√(R2+XC2)
量記号:Z 単位記号:オーム[Ω]

・R-L-C直列回路のリアクタンスXL-XC
量記号:X 単位記号:オーム[Ω]

X>0のときリアクタンスは誘導性
X<0のときリアクタンスは容量性

・R-L-C直列回路のインピーダンス√(R2+X2)
量記号:Z 単位記号:オーム[Ω]

R-L-C並列回路の計算

R-L並列回路

・アドミタンス:インピーダンスZの逆数1/Zのこと
量記号:Y 単位記号:ジーメンス[S]
Y=√{(1/R)2+(1/XL)2}

R-C並列回路

Y=√{(1/R)2+(1/XC)2}

R-L-C並列回路

Y=√{(1/R)2+(1/XL-1/XC)2}

共振状態

・共振:R-L-C直列回路やR-L-C並列回路において電源の周波数f[Hz]を変化させ誘導リアクタンスXLと容量リアクタンスXCが等しくなったとき、電圧Vと電流Iが同相となる現象のこと

*復習
・同位相:位相差が0であること
・位相差:初期位相とのズレのこと

・直列共振:R-L-C直列回路の場合の共振のこと
このときインピーダンスZ=Rとなるためインピーダンスは最小となり、
電流の実効値I=V/Rとなるので電流は最大となります。

・並列共振:R-L-C並列回路の場合の共振のこと
このときインピーダンスは最大となるため抵抗にしか電流が流れず、電流は最小となります。

・共振周波数f0:共振が起きる周波数のこと
共振条件はXL=XCなので
ω0L=1/ω0C
2πf0L=1/2πf0C
∴f0=1/2π√LC

交流回路の電力

交流電力

・瞬時電力:交流回路における瞬間の電力のこと
量記号:p 単位記号:ワット[W]

・有効電力P(消費電力・交流電力):電気エネルギーが熱エネルギーなどに変換されて、有効に消費された電力のこと
P=RI2
=VIcosΦ

・抵抗Rのみの電力
P=VI

・コイル(インダクタンスL)のみの電力
P=0
つまりコイルは電気エネルギーを蓄えたり放出したりするだけで、電力消費はしません

・コンデンサ(静電容量C)のみの電力
P=0
つまりコンデンサは電気エネルギーを蓄えたり放出したりするだけで、電力消費はしません

電力と力率

・皮相電力:交流電流において電圧VX電流Iで求められる見かけ上の電力のこと
量記号:S 単位:[V・A]

交流は絶えず変化し続けているので、単純に掛け算しただけでは実際の電力は分かりません。
そこで力率を用いて有効電力を表します。

・有効電力P:交流電流において実際に働いた電力のこと
P=VIcosΦ

・力率cosΦ:皮相電力のうち有効電力として働いた割合のこと
cosΦ=P/S
   =R/Z

・無効電力:交流電流において電源から送り出したのに負荷で消費されなかった電力のこと
量記号:Q 単位記号:バール[var]
Q=VIsinΦ

・無効率sinΦ:皮相電力のうち消費されなかった電力の割合のこと
sinΦ=Q/S

記号法による解析

複素数

・虚数単位j:2乗すると-1になる数のこと。j2=-1
*数学では虚数単位はiですが、電気の分野では電流Iと混同しやすいのでjを用います。

・複素数:a+bjのように実数と虚数を組み合わせた数のこと。
aを実部、bを虚部と呼びます。

・共役複素数:虚部の符号が反転した複素数のこと。例えばa+bjの場合はa-bjが共役複素数です。

複素数とベクトルと極座標表示

・複素平面:横軸に実数部、縦軸に虚数部を取った直交座標のこと

極座標表示と複素数の乗除

複素平面において、jを掛けるということは90°反時計回りに回転することを意味します。
逆にjで割り算をするということは90°時計回りに回転することを意味します。

記号法による交流回路の取り扱い

・記号法(複素記号法):正弦波交流の電圧、電流、インピーダンスを複素数で表現して回路計算を行う方法のこと

Posted by 哲学者:ゆとり