最近の若い男性は「異性に消極的」「向上心がない」?その理由は中性化だった! NHK「サイエンスZERO」

2022年3月15日人生・社会

私はNHKの「サイエンスZERO」という番組を毎週録画して観ているのですが、今日観た内容は興味深いものだったので、記事にさせていただきました。

NHK サイエンスZERO
https://www.nhk.jp/p/zero/ts/XK5VKV7V98/episode/te/V3KR3W9K8W/

若い男性の血中のテストステロンが減少している

番組内で最近の若い男性は血中のテストステロンが減少していることが紹介されていました。

テストステロンは以下のような作用があるそうです。
・筋肉や体毛を増やす
・闘争心、チャレンジ精神、性欲を生み出す

なるほど、テストステロンが減少し中性化することによって、異性への興味や向上心が低下しているんですね~。

しかもこれは日本人男性だけに限ったことではなく、アメリカ人男性も2000年~2015年の15年間でテストステロンの量が20%ほど低下しているそうです。

さらに欧米での調査によると、男性の精子数は40年間で50~60%減少していたり、精子の頭部にあるはずの遺伝子がなかったり、奇形であったり精子そのものの質が劣化しているとのこと。

【参考】Lokeshwar S.et al,TRENDS IN SERUM TESTOSTERONE LEVELS AMONG ADOLESCENT AND YOUNG ADULT MEN IN THE UNITED STATES, 2020
https://www.auajournals.org/doi/10.1097/JU.0000000000000964.01

【参考】Hagai Levine et al, Human Reproduction Update, 2017
https://academic.oup.com/humupd/article/23/6/646/4035689?login=false

テストステロンが多い体質か少ない体質か判断する方法

あくまで目安ですが、テストステロンが多い体質か少ない体質かを判断する方法に「2D:4D(薬指と人差し指の比)」があります。

男性の場合は、人差し指と比較して薬指が長い
女性の場合は、薬指と比較して人差し指が長い
 そうです。

ちなみに私の手はこんな感じ。ほぼ同じ長さですね。これも中性化の影響?
(確かに異性への興味やチャレンジ精神は低いかも・・・)

【参考】日本人若者における示指環指比(Digit Ratio(2D:4D))と体格指数(BMI)との関連性について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bcokiyo/2/0/2_KJ00009180159/_pdf/-char/ja

2017年の調査によれば、以下表のとおり若い世代になるほど人差し指の方が長い人が多く、中性化が進んでいることが分かります。

年代薬指の方が長い人差し指の方が長い
60代90%10%
50代81%19%
40代80%20%
30代73%27%
20代68%32%
データ提供元:Dクリニック東京

若い世代のテストステロンが減少している原因は?

早稲田大学の内田亮子教授の論文によると、BMIが低い(痩せている)男性ほどテストステロンが多く、BMIが高い(太っている)男性ほどテストステロンが少ないそうです。

これは脂肪組織内のアロマターゼという酵素がテストステロンと反応し、エストロゲン(女性ホルモン)に変えてしまうことが原因です。

一方で筋肉は精巣に働きかけることで、さらに多くのテストステロンを生み出すとのこと。
なるほど、「気分が落ち込んでいる人ほど筋トレをした方がいい」「筋トレをするとやる気が出てくる」というのは、筋肉を増やしてテストステロンを生み出し、やる気を引き出させるという理にかなっていたんですね。

以上から、若い世代のテストステロンが減少している原因は、運動不足等により筋肉が減り、脂肪が増えたことであると推測されます。

【参考】Akiko Uchida et al, Age related variation of salivary testosterone values in healthy Japanese males, 2006
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17178556/

中性化は30万年前から始まっていた

30万年前の初期ホモサピエンスの頭蓋骨を見ると、眉の部分の隆起が現代のヒトと比べてかなり高くなっています。この眉の部分の隆起はテストステロンが多いほど高くなるそうで、現代のヒトは昔に比べてテストステロンが減少していることが分かります。

これはある種の宿命のようなもので、集団社会を形成するようになった人類にとっては、テストステロンが少なく攻撃性が低い、すなわち協調性が高い方が有利であったため、中性化が進んでいったのです。

こうして考えてみると、昨今の先進国における未婚化・少子化問題も中性化が進むことによる必然のように感じられます。

まとめ

・最近の若い男性が「異性に消極的」「向上心がない」傾向がある理由は、テストステロンの減少による中性化。
・テストステロン減少の理由は、短期的に見れば運動不足による筋肉の減少と脂肪の増加。
 長期的に見れば集団社会を形成するにあたって、協調性が高い方が有利であったため。

以上、参考になれば幸いです。