岩石と鉱床の種類
「鉱物」とは自然に存在する結晶質の無機化合物のことで、「岩石」とはその鉱物が数種類混ざり合って構成されているもののことです。
また、「鉱床」とは岩石や地層中に経済的価値の高い有用鉱物を含む岩体のことです。
その岩石と鉱床にも以下の通りいくつか種類があります。
火成岩
地球の地下深くのマグマ(800℃~1200℃)が冷えて固まったもの。
岩石に含まれるシリカが少ない順に「超塩基性岩」「塩基性岩」「中性岩」「酸性岩」に分類される。
火成岩を意味する英単語の「igneous rock」は、火を意味するラテン語の「イグニス」が由来。
深成岩
火成岩の中でも特に地下でゆっくり固まったもの。
火山岩
火成岩の中でも特に地表で急速に固まったもの。
細かい粒子状の鉱物の集まりで、ガラス質のものも含まれる。
火成岩鉱床の種類
正マグマ鉱床
マグマからケイ酸塩鉱物が晶出する主要時期のことを「正マグマ期」と呼び、そのケイ酸塩鉱物によって形成された鉱床を正マグマ鉱床と呼びます。
ペグマタイト鉱床
マグマ冷却の後期にマグマの温度が長期間一定の温度に留まることによって、大きく発達した結晶を含む大岩体が生じることがあります。
このような鉱床は広義では正マグマ鉱床に分類されますが、ペグマタイト鉱床とも呼ばれ数十メートル規模の脈状や塊状をしています。
蒸発鉱床(気成鉱床)
定期的に海から切り離される内陸湖や干潟湖に泥や粘土が堆積すると、周囲の水が干上がったときにある種の鉱物が層を成して結晶化することがあります。
このような鉱物の集合体を蒸発岩と呼び、蒸発岩によって形成されている鉱床を蒸発鉱床と呼びます。
蒸発鉱床では産業利用に有用な鉱物が多く採掘されます。
熱水鉱脈鉱床
マグマ中の金属成分を多量に含む熱水が上昇し、断層などによる岩石中の割れ目に鉱物を沈殿させて出来る鉱床を熱水鉱脈鉱床と呼びます。
堆積岩
岩石や生物の遺骸の粒子が川や海の底に沈殿・堆積・固化し岩石となったもの。
砕屑(さいせつ)性堆積層
堆積岩の中でも特にもともと形成された場所とは別の場所で再形成されたものを砕屑性堆積層と呼びます。
砕屑岩
もともと存在していた岩石が風化作用によって分解して岩屑となり、別の場所に運ばれて再堆積した後に何百万年もかけて圧縮され、緻密な岩石となったものを砕屑岩と呼びます。
砕屑岩はその大きさによって大きい順に「礫(れき)岩」「砂岩」「泥岩」に分類されます。
化学的堆積岩
堆積岩の中でも特にもともと存在していた物質が水中の酸素O2や水素H2と反応して沈殿することによってできたものを化学的堆積岩と呼びます。
化学的堆積岩は化学成分を多量に含んだ水が乾燥した後に出来る「蒸発岩」と、化石の破片などを含む「有機的堆積岩」に分類されます。
生物岩
生物の遺骸が集まって圧縮され、岩石の組成の一部となったものを生物岩と呼びます。
堆積岩鉱床の種類
成層鉱床
雨や雪など自然の水に溶け込んだ物質が、川や地下水の流れに乗って湖や海に運ばれ、湖底や海底で固化した鉱床。
風化残留鉱床
風化作用を受けても粒子として残った成分から形成された鉱床。
漂砂鉱床
風や水の流れによる物理的な浸食によって、岩石に含まれていた鉱物類が離れた場所に移動し、そこに堆積して形成された鉱床。
有機鉱床
生物の遺骸が元になって形成された鉱床。
変成岩
火成岩や堆積岩が地中深くで高温のマグマや地殻変動による高い圧力を受けて変化したもの。
接触変成岩
変成岩の中でも特に火成岩がマグマと接触して変成したもの。
広域変成岩
変成岩の中でも特に極めて広い範囲で同時期に高温高圧の変成作用を受けたもの。
広域変成岩中に形成された新しい鉱物の結晶は、周囲の作用によって全て同じ方向を向くことが多い。
変成岩鉱床の種類
接触変成鉱床
そのまんまですが、接触変成岩によって形成される鉱床です。
スカルン鉱床とも呼ばれます。
広域変成鉱床
これもそのまんまですが、広域変成岩によって形成される鉱床です。
変成作用の種類
熱水変成作用(自変成作用)
溶岩やマグマが冷却する際に、内部に残っている流体の影響で溶岩やマグマが変質する作用のこと。
「自変成作用」とも呼ばれる。
熱水活動が盛んな中央海嶺などで起きた場合は「海洋底変成作用」と呼ばれる。
動力変成作用(変位変成作用)
断層運動などの巨大な機械的応力によって、擦られたり圧迫された地殻の一部で起こる変成作用のこと。
「変位変成作用」とも呼ばれる。
熱変成作用(接触変成作用)
深成岩体の周囲で温度が上昇した時に起こる再結晶化作用のこと。
「接触変成作用」とも呼ばれる。
この作用ではほぼ熱だけが働き、圧力はわずかに作用するかあるいは全く作用しない。
広域変成作用
広範囲にわたる熱や圧力の影響によって既存の岩石が変形し再結晶して変成岩を形成する、特に造山帯や大規模な火成岩貫入にともなってみられる変成作用のこと。
広域変成作用が起きた場所では強い熱と圧力の効果で元の構成成分の痕跡はほとんど失われ、鉱物組成も変化しています。
大気圧の数十~数百倍の圧力と150℃以下の温度の場合は程度の低い変成作用となり、大気圧の何万倍もの圧力と約850℃の温度の場合は程度の高い変成作用となります。
後退変成作用
自然界における変成作用は一般的にいくつかの段階に分かれて起こるもので、ひとつの岩石層の中の様々な部分がいくつかの作用を受けて変成していきます。
その中で、ある変成作用がそれ以前の地質活動による変成よりも変成度の低い岩石を生じさせる変成作用のことを「後退変成作用」と呼びます。