【書籍紹介】「セミリタイア成功術」著:滝沢修
今回ご紹介するのは、滝沢修の「セミリタイア成功術」です。
著者が暮らすカナダと比較することで、日本の問題点が見えてくる書籍でした。
この書籍の内容から、私が興味を持った部分をご紹介させていただきます。
目次
日本の年金制度と負担増(P.77)
著者はカナダで暮らしているので、日本とカナダの年金制度の違いについて言及されていました。
この書籍が発行されたのは2005年なので17年前の国民年金の掛け金が記載されていたのですが、ちょっと驚いてしまいました。
月に1万3580円しか払わなくてよかったそうです・・・。
ちなみに私が先月払ったのは約3万3000円です。倍以上になっとるやないかい!😱
当然、倍以上払っているから年金も倍以上貰えるというわけもなく、それどころか恐らく貰える額は今貰っている人よりも減るでしょう。
学習院大学の鈴木亘教授の試算によれば、年金だけでも1940年生まれの方は3090万円得をするのに対し、我々ゆとり世代ぐらいの1995年前後生まれの世代は2200万円~2600万円払い損だそうです。
早く辞めよう、こんな欠陥制度😭
【参考】学習院大学 鈴木亘教授 世代間損得勘定(P.25)
https://www.taro.org/nenkinbenkyokai.pdf
カナダと異なり天然資源に乏しい日本(P.91)
カナダには以下のような天然資源があるそうです。
・天然ガス
・石油(サンドオイル)
・ダイヤモンド
外務省のサイトによると2020年時点でのカナダの人口は約3789万人で、日本の約4分の1程度でしょうか。
天然資源に恵まれていて人口も少ないのですから、それだけ天然資源によって得られた利益は国民に還元されます。
【参考】外務省 カナダ基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/canada/data.html
例えばこの書籍では、以下のような恩恵が挙げられていました。
・各種税金の引き下げ
・福祉の充実
・年金給付額の増額
なんとも羨ましい限りですが、残念ながら日本には豊かな天然資源はありません。
だから日本は技術力を育て高めて、輸入した材料を加工して付加価値を高めて販売し、外貨を稼ぐしかないんです。なのに昨今は技術者を軽視しているのではないかと思えてなりません。
みずほ銀行のシステム障害の原因は「経営陣の情報システムに対する無理解があり、無理のあるスケジュールでシステム統合を強行したこと」でした。これは正に技術者軽視の象徴です。
技術で世界3位の経済大国にまで上り詰めたのですから、技術者の給与や待遇はもっと良くしないと、専門性が高いのに報われないという理由で理系離れはもっと進んでしまうと思います。
我慢・苦労が美徳という意識(P.93)
「石の上にも三年」や「苦労は買ってでもしろ」などのことわざがあるように、我々日本人は我慢するとか辛抱することが人生の美徳であるかのような意識が強いと思うと著者は述べています。
私も著者の意見に大変共感できます。
苦労が美徳という意識については、恐らく戦後の価値観をアップデートできない人たちが、他人にもその価値観を強要しているために下の世代にもその意識が感染していき、今なお日本に残ってしまっているのだと思います。
楽をすることが悪であるかのような風潮がありますが、楽をしたいという欲求があるからこそ技術を向上させたり効率化したりして、今日まで文明は発達してきたのです。
現代の日本で川に洗濯に行くおばあさんは、ほぼいないと思います。当然洗濯機を使いますよね。
洗濯を楽にしたいという欲求があったからこそ洗濯機が開発され、楽に洗濯したい人がたくさんいたから世間に受け入れられたのです。何も悪いことじゃないですよね。
日本の我慢・苦労が美徳という意識が技術や効率化を妨げ、延いては日本の発展を阻害しているように思えてなりません・・・😰
人生は短い(P.96)
著者はセミリタイア済みなので年間100日~120日ほどゴルフに費やしているそうですが、こんなゴルフスタイルが50歳や60歳になっても続けられるだろうかと、人生は短いという言葉の意味を実感しているそうです。
これにも大変共感できます。
戦後以降の日本は、60歳まではやりたいことも我慢してがむしゃらに仕事して、60歳になって定年を迎えたら第2の人生で好きなことを謳歌するみたいなライフプランが一般的なものとされてきました。
昨今では70歳就業確保努力義務や70歳雇用安定法の改正などと呼ばれるものも耳にするようになりました。
また年金の受け取りを遅らせれば貰える月額が増えるという制度もあるそうです。
要するに「年金を貰うのは後にして、70歳まで働いてね」という方針です。
70歳までやりたいことを我慢して仕事し続けるなんて、とてもじゃないですができません。っていうかやりたくありません!笑
そもそも年を取ってからやりたいことをやるなんて、頭は禿げるし、目は老眼だし、耳は遠いし、味も濃い味しか分からないし、首は凝るし、肩は上がらないし、腰は痛いし、膝は固まるし・・・やりたいこと全然楽しめないじゃん!
だからこそ、若いうちから散財せずに努力してFIRE(経済的自由)を目指すべきだと思うんです。
老後にやりたいことは、老後じゃなくても出来ますよ!👍
人生への準備には、もううんざりした。今こそ生きてみたいんだ。
サマセット・モーム
日本における不動産の価値(P.215)
著者はこの書籍の中で、「建物は新築後、経過年数によって劣化するのだから価値は下がるというのが、日本の不動産の常識だと思います。しかしカナダでは逆に年数がたつほど住宅の価値は上がる。」と述べています。
日本では新築の耐火建物の価値は、国の勝手な言い分によって35年で0になります。
これは国民にどんどん家を新築させることによって住宅建築会社への需要を促進し、国民に住宅ローンという長期の借り入れを起こさせるためだそうです。
こんなことを欧米でやったら「数十年のローンを払い終えたときには価値が0だなんて、これじゃなんのためにお金を払ってきたのか」と誰も家など買わないでしょう、と著者は主張していました。
日本の不動産の価値というのは、海外から見ると結構特殊なのかもしれません。
持ち家と賃貸どちらが良いのかという議論もありますが、妻子がいると必然的に持ち家になるのでしょうが、上記のような事情を踏まえると、妻子がいないなら賃貸の方が良いのかもしれないですね。
住みやすい街の条件(P.249)
この書籍の中で、住みやすい街の条件が優先順位の高い順に紹介されていました。
これは引っ越しや地理的アービトラージで役に立ちそうですね。
①自然災害の発生率が極めて低い
②食料自給率が高い
③エネルギー自給率が高い
④徴兵制がない
⑤治安が良い
⑥財政状態が良い
⑦気候が温暖で快適である
⑧医療施設が整っている
⑨教育施設が整っている
【参考】地理的アービトラージについては👇コチラ👇の目次4参照
高級デザートワイン「アイスワイン」(P.48)
「いきなり何の話をしているんだ?」と思われるかもしれませんが、著者はカナダのアイスワインを日本で販売するビジネスで成功されている方なのです。
当然と言えば当然なのですが、アイスワインの魅力を上手に文章で表現されていて、一度飲んでみたくなったので買ってしまいました笑
私が購入した時は楽天で1万3200円で販売されており、有効期限が迫っている楽天ポイントが3015ポイントあったので、約1万円で購入できました。
【参考】楽天経済圏まとめ
一言で言えば「ブドウの蜜」を飲んでいるようで、濃縮された上品なブドウの甘味が美味でした。
しかも濃厚なのに後味がくどくないので、いくらでも飲めてしまいそうでした。
日本にはまだ無い良質な商品との出会いは、良いビジネスチャンスなんですね~。
こういう意味でも海外旅行は有意義で勉強になりますね。
以上、滝沢修の「セミリタイア成功術」の紹介でした。
この書籍はカナダとの比較を通して、日本の現行制度や社会的風潮の問題点について再考するきっかけをくれる書籍だと思います。
気になった方はぜひ読んでみてください。
以上、参考になれば幸いです。