現代でも色褪せない奥深いテーマ! アニメ「火の鳥」紹介&感想
ジャンル | SF オムニバス形式 |
テーマ | 限りある命 世代交代 栄枯盛衰 生への執着 因果応報 正義 孤独 |
気に入ったセリフ | 花は散るもの、 人は年を取るものであることをお忘れなく 生きとし生けるものは皆闘いが定めじゃ 人って憎み続けることは出来ないみたい くそー!年寄りの丸焼きなんか美味しくないぞ! 正しいもの同士の争いは止めようがないわ 欲望と結びついた時、 宗教はとめどなく残酷な道具になってしまう このカプセルの中で何十年も生かされているより、 一瞬でもいい、外の空気に触れたい なぜコンピューターなどに未来を託した!?、 なぜ人間が判断しなかったのだ!? 自分が今ここにいる、そこから全てが始まっていく、 そして悠久の時の果てに何らかの結果が出るのだ だから命は初めから永遠なのである |
見どころ | 魅力的なキャラクター 奥深い哲学的なテーマ |
シーズン | 全13話(1話約30分) +羽衣編全1話(20分) |
目次
黎明(れいめい)編 全4話
あらすじ
舞台は卑弥呼の時代の日本。
主人公:ナギの姉であるヒナクが病に倒れ、命を落としかけていた。
ナギの兄:ウラジは「火の鳥の血を呑めば不死身になる」という伝説を信じ、ヒナクのために火の鳥を捕獲しようとするが、その際に命を落としてしまう。
絶望していた最中、薬師:グズリが浜辺に流れ着き、薬学の知識を駆使してヒナクを助ける。
しかしグズリにはある秘密があった・・・
感想
皆さんご存知手塚治虫作品です。
黎明編は猿田彦というキャラクターが魅力的でした。
また、ストーリーに関してもあっと驚くような展開や意外性はなかったものの、個人的には結構気に入りました。
元々私は「なぜ生物は子孫を残すのか?」という疑問を持っていて、きっかけはカマキリとチョウチンアンコウのオスの一生を知った時でした。
カマキリのオスはメスと交尾した後、メスと卵の栄養となるためにメスに頭からムシャムシャと齧(かじ)られて食べられてしまいます。
チョウチンアンコウのオスは交尾の方法が珍しく、何倍も体の大きいメスに噛みついてそこから精子をメスに供給します。一度噛みつくと離れることはできず、徐々に体がメスと融合していき、脳が退化し最終的に完全にメスの体の一部となります。
(面白いことにオスを体に一杯つけているメスほどモテるそうです。完全にアクセサリーですね・・・😱)
【参考】交尾でオスとメスが融合する!? 謎すぎるチョウチンアンコウの生態
これを知ったとき私は「人間に産まれてよかった・・・」と安堵するとともに、「何でここまでしてコイツ等は子孫を残すんやろう?」と疑問に思っていました。
この疑問の答えが黎明編で示されていたように私は感じました。
それはズバリ「命を紡いでいくことで先代がなし得なかったことを次の世代が可能にするため」です。
グズリは最終的に絶望的な状況に追い込まれます。
しかし、グズリの息子が見事その絶望的な状況から脱出してくれます。
このストーリーが、命を紡いでいく理由なのだと示されているように感じました。
バレリーナになれなかった母親が娘をスパルタ教育でバレリーナにしようとしたり、学歴にコンプレックスのある母親が教育ママになったり、自分が越えられなかった壁を自分の子供に越えて欲しいと思うのは、とても自然なことなのかもしれません。
(親の希望を押し付けられる子供はたまったものではないかもしれませんが・・・)
復活編 全2話
あらすじ
原因不明の天変地異によって地球は生物の住める環境ではなくなり、人類は月に移住した。
主人公:レオナが火の鳥の尾羽を分析にかけたことで事故が発生。
レオナはなんとか一命をとりとめたものの、脳の50%以上が損傷しており人口頭脳を移植せざるを得なかった。
しかし、人工頭脳を移植したことが原因で記憶を失ってしまい、さらに人間が異形のスクラップに見え、ロボットが人間に見えるようになってしまう・・・
感想
チヒロの格好がギャグにしか見えないですwww
復活編のテーマは「生きているとは何なのか?」「人間と機械の境界はどこなのか?」だと考えました。
脳だけの状態になって生き続けるという描写はSF映画では結構見かけるのですが、果たしてそれは生きていると言えるのか?
私の結論は「どっちでもいいよ。オレはそんな状態になってまで長生きしたくない」です。
「人間と機械の境界はどこなのか?」という問題の方は難しいですね。
意識というものも極端に言えばただの電気信号なので、人間の脳を機械で完全に再現できるようになり、そこに人の記憶を移した場合、それは人間なのか?
AIも近年になって急速に発達してきていますし、AIが本当に人間のように振舞うようになったとき、彼らに権利は保証されるのか?
結論が出るのはまだ先になりそうです。
異形編 全1話
あらすじ
舞台は応仁の乱から30年後の日本。
将軍の娘として生まれた主人公:左近允(さこんのすけ)であったが、女性として振舞うことは許されず、男として育てられた。
そのため恋をしたこともあったが諦めざるを得ず、父のことを憎んでいた。
そんな父が病に倒れ余命幾許(いくばく)もないころ、八尾比丘尼(やおびくに)が父のもとに現れ、その病を治すことが出来ると言う。
「自分らしい人生を歩むため、父に生きていてもらっては困る」と考えた左近允は、八尾比丘尼殺害を実行する・・・
感想
異形編のテーマは「異次元空間との接触・遭遇」、平たく言えばタイムリープものですね。
これに関しては映画やドラマを観まくっている私は、30年前にタイムスリップした段階で「はは~ん、なるほど読めたぞ」と結末が予想できました。
タイムリープものに関しては最近の映画などの方が洗練されているものの、恐らくこの異形編が元祖なのでしょう。手塚治虫はやはり偉大ですね。
最近のタイムリープものだと映画「プリデスティネーション」や「ルーパー」がオススメです。
【参考】
太陽編 全4話
あらすじ
主人公は唐軍に敗北した百済の王族:ハリマ。
「百済の王族と分かった以上、ただ殺すだけではすまぬ」と唐軍の兵士によって顔の皮を剥がれ、狼の皮を被せられたことによって顔が狼になってしまう呪いをかけられる・・・
感想
最初主人公が狼になったときは「いやそうはならんやろ!骨格から違うやんけ!」とツッコミたくなりましたが、まぁ呪いということなら仕方ないか・・・
私はこの太陽編が未来編の次に好きです。
理由は四話の火の鳥の名言ラッシュもありますが、狗族の娘:マリモが可愛いからです(笑)
恐らくこのマリモというキャラクターがケモ耳娘の始祖でしょう。
手塚治虫・・・やはり天才か・・・!
今の漫画界に普通に存在するもののルーツを辿っていくと手塚治虫に行きつくなんて言葉を耳にしたことがありますが、過言ではなさそうですね。
未来編 全2話
あらすじ
西暦3403年、猿田博士は生命復興のため人口生命体の研究に明け暮れていた。
そんなとき、マサトという男性と何にでも擬態できるムーピーという不定形生物のタマミが猿田博士の研究所へ逃げ込んでくる。
マサトたちから少し遅れてロックという男性も猿田博士の研究所に逃げ込んでくるが、ロック曰く生き残った人類はまもなく全滅するという・・・
感想
ロビタというロボットは恐らく復活編のレオナなので、復活編と未来編は繋がっていますね。
それにしてもロックが良いキャラしてますね。
登場している時間は短いのに「自分が助かる唯一の方法を、自分で潰しちまったって訳か!」と「こんなにすがすがしい気分は久しぶりだ」というセリフだけで結構好きになりました。
黎明編で火の鳥の血を呑めば不死になれるというところで既に私は「いや~不死になんかなりたくないな」と考えていたのですが、不死になったマサトを見て間違いではなかったと確信しました。
映画「グリーンマイル」の主人公も不思議な力で他人よりも寿命が遥かに長くなり、どんどん知人が亡くなって孤独になっていきましたが、マサトは4660年も孤独に苦しんでいましたからね😰
6億年後、30億年後まで行ったときは目を丸くしてしまいました(笑)
もはやジョジョ6部の一巡後の世界ですね💦
ストーリーのスケールが大きいのでこの未来編が一番好きです。
【参考】
羽衣編 全1話
あらすじ
主人公は山賊のズク。
幼いころに母に捨てられ、生きていくためにその頃から山賊となってしまった。
いつものように山を通りがかる人を脅し、ものを盗んでいたが、そんなとき小さな女の子の亡霊のようなものが現れ、海岸の方へ向かえと指示される。
ズクが指示通り海岸の方へ向かうと、そこにはとても美しい羽衣を持った女性が倒れていた。
女性は記憶を失っており、どこから来たのか自分は誰なのかすら思い出せないという。
彼女の正体とは・・・?
感想
昨今「親ガチャ」という言葉が流行っていますが、ズクは正に親ガチャ外れですね。
現代はズクの時代のご先祖様から見ればVERY EASYモードみたいなものなので、児童虐待などの余程の外れでもなければ自分の努力次第で逆転できますが、それでもやっぱり幼いころの経験というのはその人物の人格形成に多少なりとも影響するでしょうね。
あとどうでもいい話かもしれませんが、女の子の亡霊完全にピノコやんけ!🤣
以上、アニメ「火の鳥」を見た感想でした。
Amazon Primeで見れるので、興味を持った方はぜひご視聴ください。