【書籍紹介】「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」著:河合雅司

2023年9月7日人生・社会

今回ご紹介するのは、河合雅司の「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」です。

少子高齢化が深刻化する日本にこれから起きることが年代順に示されています。
この書籍の内容から、私が興味を持った部分をご紹介させていただきます。

ちなみにこの書籍が出版されたのは2017年でこの年の新生児出生数は94万6060人、一方2021年の新生児出生数は81万1604人となっており少子化は更に加速しています。

よってこの書籍に示されている危機がより早く来る可能性が高いです😱

【参考】
厚生労働省 人口動態統計(2017)
厚生労働省 人口動態統計(2021)

未来の年表

2020年 女性の平均年齢が50歳以上になる

高齢化の進展によって女性人口に占める49歳以下の若い世代も減ってきているが、社人研の女性人口の将来推計を見ると、2020年には50歳以上人口(3248万8000人)が0~49歳人口(3193万7000人)を追い抜く。

日本女性の過半数が出産期を終えた年齢になるということだ。

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」P.46より抜粋

これはこの書籍で予想されている通りになりましたね。
というのも人間は1年に1歳必ず年を取るので、人口ピラミッドを見れば予測が可能なんですよね。
逆に言えばこの手の予想は将来絶対に訪れる回避不可能な問題だということです。

これの何が恐ろしいかというと、下記のグラフを見ても分かる通り子供を産むことが出来る女性の数そのものが減少しているという点です。

ほんの数年間だけ減少しているなら少子化解決の可能性も見えてくるのですが、日本人女性の人口は1973年をピークにず~っと減少し続けています。
仮に今からベビーブームが起こったとしても、もう手遅れですね。

国立社会保障・人口問題研究所のデータを基に作成

【参考】
Yahoo!Japanニュース 今や日本女性の半数以上が50歳以上に 新局面に突入した大人女性市場
国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2022) 表2-3 性,年齢(各歳)別人口:2020年
国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2022) 表4-9 女性の年齢(各歳)別出生率:1925~2020年
厚生労働省 令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況

2035年 男性の29.0%・女性の19.2%が生涯未婚になる

50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」と呼ぶが、2015年版「厚生労働白書」によれば、生涯未婚率は1990年を境にうなぎ上りで、現状(2015年時点)でも男性は24.2%で4人に1人、女性は14.9%で7人に1人だが、2035年になれば、男性は29.0%で3人に1人、女性は19.2%となり5人に1人が生涯結婚しないという「未婚大国」の誕生となる。

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」P.99より抜粋

2020年のデータでは生涯未婚率は男性:28.25%、女性:17.81%でした。

先述した通りこの書籍が出版されたのは2017年です。
たったの3年間で男性の生涯未婚率が2035年の予想値29.0%にほぼ到達しています😅

2015年から5年間で男女ともに約3%上昇していることから、2035年の生涯未婚率はこの書籍で予想されているよりも上昇している可能性が高いですね。

【参考】
国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2022) 表6-23.50歳時の未婚割合

なぜ若者は恋愛をしなくなったのか?

さらに深刻なのが、恋人のいない若者の急増である。交際相手のいない未婚者(18~34歳)が男性で69.8%、女性は59.1%に上った。極めて高い水準である。前回調査と比べて男女とも10ポイント近い伸びであった(独身者調査)。
「とくに交際を望んでいない」と回答した人も、男性は未婚者全体の30.2%、女性は25.9%に及んでいる。

なぜ若者は恋愛をしなくなったのだろうか?
~中略~
若者が本当に恋愛への関心を失くしたのであれば、多くの男女(3人に1人)が「自分には魅力がない」と不安を口にする必要などないはずだ。むしろ、「恋人がいない」状況が長期化したことによって自信を失い、恋愛や結婚が難しいことを正当化しようという意識が働き、それが消極姿勢として表れていると考えられる。

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」P.102より抜粋

リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2021」によると20~49歳の未婚男女の恋人のいない人の割合は66.6%だそうです。

【参考】
リクルートブライダル総研 「恋愛・結婚調査2021」

私は恋愛・結婚する理由は大きく分けて必要性と希望性の2つがあると考えています。
例えば必要性であれば世間体、希望性であれば「愛する人と子を設け、人生を共に歩みたい」等ですね。

必要性と希望性の2つの側面で変化があったため、恋愛離れが加速しているのだと分析しました。
以下が私の個人的な分析内容です。

必要性の変化① 社会の風潮が変わった
1970年の生涯未婚率は男性:1.7%、女性:3.3%であったことからも分かるように、昔は結婚して子供を作って家を建ててやっと一人前といった風潮があり、結婚していない人は「普通じゃない・変人」扱いされていました。
ところが近年多様性を認めようという風潮が強くなり、昔のように結婚していないからと言って風当たりが強くなようなことはことはなくなりました
これが一番影響力があるのではないでしょうか。

必要性の変化② 生活が便利になった
昔に比べて24時間営業のお店が増え、ネットショッピングも一般化し、生活家電の性能も大幅に上がりました。
その結果、結婚しなくても普通に生活が成り立つため、わざわざお金と時間をかけて恋愛・結婚する必要性がなくなったのだと考えられます。

希望性の変化① コモディティ化
これは車離れにも共通すると考えているのですが、昔は車を所有することやドラマのような恋愛をすることが皆の羨望の的であり一種のステータスのような特別なことだったのに対し、近年ではそれらがコンテンツとして消費されつくしてしまい一般化(コモディティ化)して飽きられてしまったのではないでしょうか。
では車等に代わる最近の若者のステータスとはなにか?私はSNSのフォロワー数やいいね!の数がそれに該当すると考えます。
み~んな何かするたびに何か食べるたびに写真撮ってSNSに載せていますからね。お店側がインスタ映えを狙って創意工夫を重ねていることも、これを裏付けています。

希望性の変化② 優先順位が下がった
生活の利便性を向上することが頭打ちになってきた近年では、娯楽の需要が高まっています。
そのため世界各国の企業がたくさんのコンテンツを製作し、世の中には消費しきれないほどの娯楽が溢れるようになりました。
それを裏付けるかのように最近の若者は「イントロをスキップする」とか「映画は倍速で観る」という話を耳にするようになってきました。
このように魅力的なコンテンツが溢れる世の中では、お金や時間がかかって心やプライドが傷つく可能性のある恋愛というコンテンツの優先順位が下がるのは当然の結果でしょう。

希望性の変化③ 性欲の解消が容易になった
恋愛の優先順位が下がったと言っても人間には性欲があるので、これを無視することは出来ないはずです。
食欲で言えば何も食べない、睡眠欲で言えば一睡もしないみたいなことですから、性欲を一切満たさないで生きていくことなんて不可能です。
ですが現代にはインターネットとアダルト系動画サイトがあります。これらによって性のセルフ化やコンビニ化が加速し、お手軽に性欲を解消できるようになったことによって恋愛への意欲も減少したのでしょう。

希望性の変化④ 機会の減少
そもそも恋愛が始まるきっかけというのは、魅力的な異性と出会い「あの人と仲良くなりたい」と思うことではないでしょうか?
2014年のアンケート結果によると、結婚を決めた一番の理由は「好きな相手と一緒になりたい」であり、これが上記を裏付けています。
長時間労働の常態化や情報通信技術の発達によって異性と直接会って会話したり、共同で何かを行う機会が減少した現代では、上記のような恋愛のきっかけが奪われてしまいます。
また、長時間労働者は休みの日がただ寝るだけの、次の仕事の充電期間になっている可能性もあります。
出会いの形は趣味や飲み会など様々ですが、とにかく長時間労働の解消と余暇の創出によって飽きるほど自分にお金と時間を使わせて、恋愛に興味を向けるきっかけを与えることが重要だと考えます。

【参考】
明治安田総合研究所 2014年 20~40代の恋愛と結婚(第8回 結婚・出産に関する調査より)P.12

仮に恋愛・結婚に積極的だったとしても・・・
この書籍の著者は「恋愛や結婚が難しいことを正当化しようという意識が働き、それが消極姿勢として表れていると考えられる。」と分析していましたが、実際問題恋愛や結婚は難しくなっていると思います。
これは将来不安や30年近くに及ぶ経済不況などもそうですが、一番影響が大きいのはSNSの普及による理想像の肥大化だと考えています。
SNS上ではたくさんの人が自分の良いところだけを投稿しています。容姿端麗だったり、高年収だったり、家事・育児に積極的だったり、料理が得意だったり・・・こういった人たちを見慣れてしまうと、ちょっとやそっとじゃ靡(なび)かなくなってしまうのではないでしょうか?

2040年 自治体の半数が消滅の危機に

2040年までに全国の自治体の半数が将来的な「消滅」の危機にさらされる―――民間有識者でつくる「日本創生会議」の人口減少問題検討分科会が2014年に公表した将来推計の結果に日本中が大騒ぎしたことは記憶に新しい。県庁所在地である青森市や秋田市まで「消滅」の対象にされていたため、地方自治体関係者に与えたショックは相当なものがあった。

~中略~

市町村別に見ると、変化はさらに顕著だ。群馬県南牧(なんもく)村に至ってはなんと71.0%の減少である。(2040年までに)
現在の30%以下にまで住民が減少したのでは、自治体の運営に支障が出るどころか、まさに「消滅」してもおかしくない。

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」P.109,P111より抜粋

2020年のデータでは群馬県南牧村の総人口は1611人です・・・
しかも年齢別構成人口(5歳別)を見ても0~54歳ではどの年代も人口は3桁に届きません。
55歳~59歳で初めて143人と3桁が登場します。
2040年を待たず消滅しそうなんですがそれは・・・😰

住む人が減少→需要が減少→仕事が減少→雇用が減少→都会に若者が流出→住む人が減少→・・・という負のループを長年放置したツケがボディブローのように地方自治体に効いてきていますね。
しかも都会で若者が子供を設けているならいいのですが、都会の方が仕事で忙しく出生率が低い傾向にあります。

テレワークを本気で推進すれば少しは効果があるかもしれませんが、焼け石に水でしょうね。

【参考】
国土交通政策研究所「政策課題勉強会」
参議院調査情報担当室「人口減少による消滅可能性都市の衝撃」
国勢調査 群馬県南牧村公式サイト

2065年 外国人が無人の国土を占拠する

国交省が「国土のグランドデザイン2050」に先駆けて策定した「国土の長期展望中間とりまとめ」(2011年)は、離島の行く末の厳しさを語っている。2050年には離島振興法の対象の有人離島のうち、約10%が無人島化する可能性があるのだ。

~中略~

たとえば長崎県の対馬だ。韓国資本などの土地取得が次々と進み、観光客が大挙して押し寄せるため、島はだんだんと韓国抜きには成り立たなくなってきている。自衛隊施設の隣接地までが、韓国資本の手に渡ったという。

~中略~

特定の自治体や地域の土地を集中的に買い占めることになれば、武力侵略されることもなく、合法的に日本国内に”外国の領土”が出来るのと等しい。

~中略~

たとえば自衛隊の場合、2016年の自衛官数は23万人弱であるが、少子化が進むとこの規模を維持することすら難しくなる。若い隊員がすでに減少し、全体の年齢構成が高齢化していることに、防衛省は危機感を募らせている。

~中略~

参考にすべき事例が、東日本大震災である。被災者の救助に当たったとき、自衛隊は本来の業務である国防を怠るわけにはいかないはずだったが、自衛隊の総数23万人のうち、一番多い時には10万7000人を被災地に投入したのだ。

~中略~

国際社会の現実でもあるが、こういう非常時の日本をまるで試すがごとく、周辺国からは戦闘機が飛来し、日本列島を一周したことを覚えている人は少なくないだろう。

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」P.139,P141~P144より抜粋

これも少子高齢化をほったらかしにしてきた結果なのですが、2065年までに亡くなる人にとっては他人事なのかもしれませんね😅
子供がいない人が他人事なのはまだ理解できるのですが、子供も孫もいるのに少子高齢化をほったらかしにしている高齢者たちは自分の方が可愛いんですかねぇ?理解できません。

高齢者の年金や医療費等に莫大な財源が必要で、それを現役世代が国民年金や税金という形で負担していることは明らかです。(これが少子化の全ての原因だとは思いませんが)

「もう私たちは十分長生きしたから、子供や孫たちに財源を向けてやって下さい」という人が増えれば少しは少子化も改善しそうなんですけどね~。

少子化しているのは日本だけなのか?

では少子化が問題になっているのは日本だけなのでしょうか?答えはNOです。
少子化問題は「先進国病」とも呼ばれるほど経済発展がある程度進んだ国々で問題となっており、特にお隣韓国は世界一の少子化国家となっています。

2021年のデータを比較すると以下の表の通りとなり、韓国の惨状に驚かされます。

国名出生数合計特殊出生率
韓国26万562人0.81
日本81万1604人1.30
2021年データ

なぜ韓国の少子化はこんなにも深刻化しているのでしょうか?
分析されていた主な原因は以下の通りです。

・雇用が不安定(2021年の有効求人倍率は0.50)
・徴兵制度によって社会に出るのが遅れ晩婚化
・不動産価格が高い(韓国では結婚前に男性側が家を用意する慣習があるそうです)

基本的には経済的な面が少子化の原因となっているようですね。
これは日本と類似する部分かもしれません。

【参考】
独立行政法人労働政策研究・研修機構 世界最下位を記録した韓国の出生率、その現状と政府の対応
ニッセイ基礎研究所 韓国の出生率が0.81まで低下

ではどうすればよいのか?

戦略的に縮む

先述した通り仮に今からベビーブームが起こったとしても、すでに手遅れで少子化の解決はほぼ不可能です。
本書籍の著者も同じように考えているらしく、以下のような戦略的に縮むという対策を提案しています。

・高齢者の定義を75歳以上に引き上げ、税金で支えなければいけない人数を減らす
・24時間営業を止め、過剰サービスを見直す
・居住エリアを明確化し、コンパクトで効率的な国家運営体制に切り替える
・都道府県を飛び地合併し支え合う
・国際分業を徹底し、得意分野だけに集中する

少子化対策

「気の遠くなるような取り組みとはなるが」「戦前・戦中に軍部が産めよ殖やせよと煽って見せたものの、結果は芳しいものではなかった」と注釈を加えつつも以下のような少子化対策が提案されていました。

・雇用の安定
・出会いに恵まれない人のきっかけ作り(お見合いの復権)
・長時間労働の是正
・第2子が生まれた家庭の所得税を大学卒業まで大幅に減税
・第3子以降が生まれた家庭に子供1人につき1000万円給付
・第3子以降が生まれた家庭の大学進学までの教育費を、塾代も含めて全て無料とする

「第3子以降が生まれた家庭に子供1人につき1000万円給付」という対策が特に良いと私は共感しました。

現状サラリーマンの生涯年収は約2億円とされており、低く見積もって20%を税金で納めると仮定しても1人につき4000万円になります。
実際は所得税・住民税・消費税等全て合算すると、労働収入の50%を税金で納めることになる(所謂50%マネー)ので、子供1人につき1000万円ならおつりがきますよね。

【参考】
doda 平均年収ランキング(生涯年収・生涯賃金)【最新版】

移民は期待できない

いらすとやで検索すれば出てくるほど有名・・・

ここからは本書籍に記載されていた内容ではないのですが、少子高齢化によって労働者が不足するという問題に対して、「移民(外国人労働者)を受け入れて働いてもらえばいい」という意見を目にすることがありますが、これはどんどん難しくなってきています。

というのも日本の労働環境の劣悪さが露見してきており、外国人労働者に対するいじめや暴力、それを苦に外国人労働者が自ら命を絶つという事件が増加しており、これを受けてか「各国の駐在員が働きたい国ランキング(2019)」で日本は33か国中32位という悲惨な結果を残しています。

これでは移民は期待できませんね😥

【参考】
PRESIDENT Online このままでは日本で働く外国人はいなくなる…ベトナム人の日本離れが増えている理由
ITmedia 「外国人が働きたい国」で日本が33カ国中32位――この国の“真に深刻な問題”とは

まとめ

・子供を産むことが出来る女性の数そのものが減少している
・生涯未婚率が当初の予想を上回るスピードで増加している
・恋愛離れの個人的な分析
 社会の風潮が変わり、風当たりが強くなることが減ったから
 生活が便利になり、結婚しなくても普通に生活が成り立つから
 恋愛がコモディティ化(一般化)し、飽きられたから
 世の中に消費しきれないほどの娯楽が溢れるようになったから
 インターネット・アダルト系動画サイトの登場で、性のセルフ化やコンビニ化が加速したから
 長時間労働等により恋愛が始まるきっかけが減少したから
 SNSの登場によって理想像が肥大化したから
・2040年には自治体の半数が消滅の危機にさらされる
・2065年以降無人となった国土を外国人に占拠される
・韓国の合計特殊出生率は0.81で世界一ヤバい
・今からベビーブームが起こっても手遅れなので、戦略的に縮むしかない
・生涯賃金が約2億円で税金で少なくとも4000万円収めるので、子供1人につき1000万円給付してもおつりがくる
・日本の労働環境の劣悪さが露見しているので、移民は期待できない

以上、河合雅司の「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」の紹介でした。
気になった方はぜひ読んでみてください。