人間の虚栄心とエゴイズムを秀逸に描写したホラー作品 映画「来る」紹介&感想
ジャンル | ホラー ヒューマンドラマ |
テーマ | 虚栄心 エゴイズム 育児ノイローゼ 疎外感 軽蔑 |
気に入ったセリフ | 人はな、昔から都合の悪いことを妖怪のせいにしよんねん。 クズみたいなやつやけどな、信用できるクズやから。 いないしいらないっす、あんな不気味で厄介な生き物・・・。 大事なのはどうしてではなく、どうするかです。 私は、ヒデキが死んでくれて、嬉しかった。 姉です、このバカの。 私も子供は嫌いです、災いを呼び込むから、 マコトも要は子供です。 誰も愛せてへんし、信じてへん、他人も、自分も。 失うのが怖いから失いたくないものを作らない。 |
見どころ | 結婚・育児にまつわる人間模様 津田の本性と目的 |
あらすじ
主人公は結婚し子供も生まれて幸せいっぱいのヒデキ。
過去に幼馴染の女の子が行方不明になっているが、その子の名前を思い出せない。
ある日会社の後輩が謎の噛み傷が原因で体調を崩し、1年後に亡くなる。
その後も帰ってきたら部屋の中がメチャクチャに荒らされていたり、謎の電話がかかってくるなど不気味な出来事が頻発する・・・
感想
よくある「本当に怖いのはバケモノよりも人間の方でした」系のストーリーなんですが、この映画はその描写が上手で面白かったです。
特に人間の虚栄心の描写がよくできていたように感じました。
育メン感出してるけど、上手なのは育児ではなく育児やってますアピールだったというのは秀逸でした。
ただオチがもったいなかった・・・
普通にお祓い成功してハッピーエンドで良かったのに、お祓いの邪魔をし始めた辺りとラストシーンで「は?」ってなりました😩
結局悪霊の正体は何?
※行方不明になった幼馴染の名前もチサちゃんなのでややこしいですが、以降チサちゃんと表記しているのは全てヒデキの子供のチサちゃんと解釈してください。
初見では悪霊の正体が結局分からないまま終わってしまいました。
行方不明になったヒデキの幼馴染?
でもその幼馴染も「わたし、呼ばれてもうた。目をつけられたらもう逃げられへん。」って言ってたので、更に原因となる悪霊がいそう。
ということはやっぱり大人に見捨てられ死んでいった子供達の怨霊が原因だったのでしょうか?
幼馴染が行方不明になったのはチサちゃんと同じように怨霊と一緒に遊んでしまったから?
なぜヒデキが狙われたのか?
となると何故ヒデキが、何故チサちゃんがターゲットになったのか?
幼馴染の「ヒデキも呼ばれるで、あんた嘘つきやし」というセリフがありましたが、これは「悪い子は”ぼぎわん”に連れていかれる」という大人の言葉を純粋に信じた子供の考えで説明できそうです。
では原因は、ヒデキが育メンアピールするだけで実際には何もせず、奥さんを育児ノイローゼに追い込み、結果としてチサちゃんに寂しい思いをさせたから?
チサちゃんの心に隙ができ、怨霊と遊んでしまったことによって結びつきができて、チサちゃんの周囲の大人たちが犠牲になった?
でもこれだとチサちゃんの周囲に異変が起きたことは説明できますが、後輩が死亡したり霊媒師の片腕がもがれたり等のヒデキの周囲に起きた異変を説明できないんですよね~。
やはりチサちゃん経由ではなく直接ヒデキに怨霊が取り憑いたと考えるのが妥当ですが、今度はその原因が分かりません。
行方不明になった幼馴染自体が実は怨霊で、ヒデキが怨霊と遊んでしまったから取り憑かれたのかとも考えました。
しかし何故大人になるまで殺されなかったのかが分かりませんし、周囲の大人たちも行方不明になった女の子がいたということを認識しているので、幼馴染は怨霊ではなく実在したと思われます。
原作小説では・・・?
考えれば考えるほど迷宮入りしてしまうのでwikipediaで調べてみたところ、原作小説ではヒデキの祖母のシヅさんがカギを握っているようです。
なるほど、冒頭のお葬式の後のシーンで「シヅさ~んって呼ばれたんよ」と言っていたおばあちゃんがカギですか、そこまで考えが至りませんでした。
・・・ってかそんな大事な要素をなんで映像化しないの!ヽ(`Д´)ノ
オチにも納得いってないので原作小説を読んでみたいと思います。
オチ以外は良い作品なんですよ、ホント。
調べたら近くの図書館で原作小説を借りられそう!やったぜ!
以上、映画「来る」を観た感想でした。
AmazonPrimeで観れるので、気になった方はぜひご覧ください。